ニュース・トピックス

ニュース・トピックス 詳細

オークネット総研ニュースレター配信  ~中古車流通を支える品質管理の最前線に迫る~
第3回:カーセンサーとAISについて

2018年8月9日

 オークネット総合研究所(所在地:東京都港区/理事長:佐藤 俊司/URL:http://www.aucnet.co.jp /aucnet-reseach/)は、B to Bネットオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営し、独自の調査レポートなどを発表してまいりました。当レポートは、中古車流通市場や品質管理に関し、モビリティジャーナリスト・森口 将之氏に取材・調査を依頼し、ニュースレターとして配信するものです。
 第3回では、中古車情報メディアを運営する「カーセンサー」を取材し、安心安全な中古車情報発信への取り組みとAISの活用についてレポートいたします。

1. 30年以上にわたり、中古車情報を発信する「カーセンサー」

 前回のコラムでは、我が国の中古車の検査基準としてオークネットが設立した中古車検査専門会社AISを紹介し、実際にこのAISを活用しているスバルの中古車販売店の話もお伝えした。しかしAISを使っているのは販売現場だけではない。
 私たちが中古車を買う時に、必ずと言っていいほどお世話になるメディアの代表格である「カーセンサー」もAISを役立てている。そこで今回は、カーセンサーを運営する株式会社リクルートマーケティングパートナーズの執行役員で自動車領域メディアプロデュース統括部のDivision Directorを務める立花雄樹氏に、昨今の中古車事情からAIS利用状況まで話を伺った。カーセンサーが生まれたのは1984年。このときはもちろん雑誌という体裁のみだったが、1996年にはインターネットでの情報展開を開始した。
 その翌年に走行距離、2000年に修復歴、2004年には車台番号を、業界で初めて全車にわたり表示することとしており、中古車の信頼性向上に努めた。2005年には輸入中古車専門の情報誌「カーセンサーEDGE」を創刊し、2008年には買取、廃車、車検のサービスを開始するなど、多角化も進めている。

 インターネットの利用状況は、5年ほど前から若い人を中心にスマートフォンやアプリでのアクセスが多くなったという。さらにカーセンサーではYahoo!ショッピングをはじめ15のウェブ媒体と提携を結んでおり、さまざまなウェブサイトで中古車情報がチェックできるようになっている。
 掲載台数は43万台以上(2018年6月現在)で、時期別では1〜2月と9月が多くなる傾向にある。掲載台数は1日ごとに変わり、価格は販売店側で操作できることもあって、わずか1時間で上下することもある。
 ちなみに雑誌は、かつては多くの物件情報を掲載していたためにかなり厚みがあって定価も300円近かったが、2017年からは相場観を見るというコンセプトに転換し、中古車購入に役立つ記事と厳選した物件情報を紹介するという体裁とした。その結果、本の厚みは約1/4、定価が100円となり、発行部数は28万部と出版不況と言われる中で以前よりも部数を伸ばしているという。
 誌面を開くと「カーセンサーの使い方」として、まず本誌で気になる車種にアタリをつけ、その後ネットで検索する方法をオススメしている。掲載されている物件は価格帯ごとに分けられており、予算に合わせた検索がしやすい。

 カーセンサーでは全国の中古車販売店とリレーションがあり、中古車市場の傾向やトレンドも掴んでいる。立花氏によれば近年の市場の特徴として、大手化と専門化が進んでいるそうだ。中古車の販売台数はほぼ横ばいでカスタマーの購買行動が複雑になる中で、特徴が分かりやすい販売店が支持される傾向にあるという。
 カスタマーの近年の特徴として、店舗訪問前に雑誌やインターネットなどで情報を収集するケースが多く、店頭で検討する時間が短くなっているという。ただし実車を見ずに購入するのは遠方在住のカスタマーに限られており、大半は実際に車両を見てから契約する。
 カーセンサーではカスタマーをクルマの知識はあるか、中古車の寛容度が高いかという観点で大きく分類している。「クルマの知識があって中古車の寛容度が高い」層は昔からの中古車好きで、最初から車種を限定して選ぶことが多いが、カスタマーの層としては少なくなっている。逆に最近増えているのは、「クルマの知識がなく中古車の寛容度が高い」カスタマーで、予算や生活スタイルに合わせた車種を選ぶことが多い。
 以前であれば、クルマの知識がない人は中古車の寛容度が低いというカスタマーが多く、新車を選択するケースが多かった。しかし、ファッションをはじめ他の分野でもリユースの寛容度が高いカスタマーが増えているといわれており、中古車に対する抵抗感も減っているようだ。この傾向は特に若年層で顕著であり、女性のカスタマーも増えているそうだ。

2. AIS導入による安心安全な中古車情報を提供

 カーセンサーはなぜAISを導入したのだろうか。立花氏が挙げた理由は、情報の乖離だった。
 インターネットが普及する以前は、カスタマー側から見ると中古車の情報が少なく、車両の状態がどんなものか分かりにくいという課題があった。
 中には虚偽の表示やおとり広告を行う販売店もあった。カーセンサーではこうした販売店に対して掲載拒否などを行ってきたが、それでも「中古車は怖い」という声はあった。インターネットの普及で不特定多数の人が中古車に目を向けるようになり、より安心が求められるようになったのだ。
 カーセンサーは情報開示が何より大切と考え、中古車市場の活性化にはカスタマーと販売店の間に存在していた情報の差を埋めることが必要であると感じていた。そのような背景から、前述した走行距離や修復歴、車台番号の表示を義務づけることにした。
 しかし、中古車の状態は客観的な情報を提供するのが難しい。そこで第三者の検査基準を導入することが最良の選択であると考え、AISに白羽の矢を立てた。その結果、2010年に「カーセンサー認定」としてAISを導入した。
 AIS導入後、普及は順調に進み現在はカーセンサーに掲載される中古車のうち、約4万台がAIS検査結果を表示している。
 カーセンサーがAIS導入の最大のメリットとして挙げていたのは、カスタマーから見た際の分かりやすさで、安心という声を多くもらっているという。カスタマーが直接見ても判別できない部分を、第三者が情報開示をして安心安全を生むというのは納得できるところだ。

 一方で保有する車両の評価点数が低くなると販売に悪影響を与えるのではと心配する販売店の声もあった。しかし「カーセンサー認定」がカスタマーの不安払拭につながり、導入すると成約率が上がるというケースがほとんどだ。カーセンサーの調査では、「カーセンサー認定」を導入している販売店としていない販売店では、平均で反響や問合せ率に約3倍もの違いがあるという結果が出ている。中古車が売れれば当然ながら販売店は利益が出る。カーセンサーではこうしたデータも用いて販売店へAIS導入のアプローチを続けている。

 導入から時間が経過するにつれて販売店の側の理解度も増してきた。いち早く導入し成果を出した販売店の情報を聞いたことが要因かもしれない。物件の程度によっては評価点数が低くなることがあるものの、それがむしろ現実的であり、カスタマー納得してもらえクレームの減少につながったという声もメリットとして寄せられたそうだ。

 もうひとつ販売店側がメリットとして挙げているのが、商談時間が短くなることだった。物件の状態がAISによって客観的に示されているので、商談は価格に絞られることになり、効率が上がっているという声が届いているそうだ。
 今後は事後評価を充実させたいという展望が挙がった。カーセンサーでは現在、車種や販売店の評価を5段階で付けてもらっているが、これらは購入直後の採点であり、一定期間所有したうえでの評価も反映させたいとのこと。事後評価はAISとは直接の関係はないかもしれないが、徹底した情報開示によって安心できる中古車マーケットを築こうとしているカーセンサーのスタンスが伝わってきた。

 

——————————————–

筆者

著者:森口 将之(もりぐち まさゆき)
モビリティジャーナリスト・株式会社モビリシティ代表取締役

 1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業。自動車専門誌編集部を経て1993年にフリージャーナリストとして独立。自動車分野では自動運転からクラシックカーまで幅広いジャンルを担当し、新聞、雑誌、インターネット、ラジオ、テレビなどで活動中。自動車以外の交通事情やまちづくりなども精力的に取材しており、2011年には同分野でリサーチやコンサルティングを担当する会社、株式会社モビリシティを設立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本福祉のまちづくり学会、各会員。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「富山から拡がる交通革命」(交通新聞社)「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」(秀和システム)など。

<オークネット総合研究所 概要>
当総合研究所は、1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指しています。

所在地:〒107‐8349東京都港区北青山二丁目5番8号 青山OMスクエア
理事長:佐藤 俊司
U R L:http://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/

——————————————–

<本件に関するお問合せ>
株式会社オークネット 広報担当:土屋 貴幸、吉岡 基樹
TEL:03-6440-2530  E-MAIL:request@ns.aucnet.co.jp

※本資料を利用される際は、オークネットにご一報の上、提供元を「オークネット総合研究所」と明記して、ご利用ください。



ニュース一覧へ