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オークネット総研ニュースレター配信  ~世界の中古スマートフォン流通市場の実態を探る~
第1回:中古スマートフォンの流通経路に迫る

 2015年10月5日

 情報流通支援サービスの株式会社オークネット(本社:東京都港区/代表取締役社長:藤崎清孝/URL:http://www.aucnet.co.jp)は、 運営する『オークネット総合研究所』(所在地:東京都港区/代表理事:山内 良信/URL:http://www.aucnet.co.jp /aucnet-reseach/)より、「中古スマホ流通」に関するニュースレターを10月5日より配信開始いたします。 本コラムは、モバイル研究家・木暮祐一氏に調査を依頼し、その実態をニュースレターとして月1~2回のペースで配信していくこととなりました。
 第1回は、中古スマートフォン世界最大の市場といわれる香港に潜入。取材によって明らかになったその流通経路に関するルポをお届けいたします。

1. 中古買取店が増えている一方で伸びない国内中古消費

 SIMロック解除義務化やそれに伴うMVNO(Mobile Virtual Network Operator=既存通信事業者のネットワークを借り受けて独自ブランドでサービス展開する通信事業者)の躍進などによって、スマートフォン(以下、スマホ)の中古流通市場が拡大しているといわれる。実際に、中古スマホ(新品も同時に取り扱うケースもある)とMVNOのSIMカードを主商材として店舗展開するチェーン店も多数参入するほどである。

 MVNOの躍進は総務省が公表した統計資料からも、まだ契約数こそ多くはないものの右肩成長を続けている分野であることがわかる。2015年6月に総務省が公表した『MVNOサービスの利用動向』によれば、NTTドコモやKDDIなどの、いわゆる携帯電話系ネットワークを利用したMVNO契約数は2014年12月で735万契約まで増加している。そのうち、MVNOで利用する端末の調達方法については「国内で販売されている新規端末を購入(SIMフリーiPhoneやGoogle Nexus等)」が33.2%であるのに対し、「国内で販売されている中古端末を購入」はわずか19%(2013年と同率)に留まっている。この割合から推計される中古スマホ販売数は約140万台と見積もれる。

 一方で、MM総研(東京都港区)が調査した2014年度スマートフォン出荷台数は2,748万台となっており、その数字から算出すると、新品スマホの出荷台数に対する中古スマホの販売実績はわずか5%に留まっていることになる。破損や紛失等による買い替えを含めたとしても、これだけ多くの新品スマホが販売されながら、国内で流通する中古スマホはごくわずかでしかないことがわかる。

決定1

決定2

決定3

 中古スマホ販売店に対し、それよりも目にするのが「中古スマホ買取店」の存在である。前述のとおり、中古スマホも取り扱うMVNOが増えているとはいえ、新品スマホ出荷数に対して中古スマホを実際に手にするユーザーは非常に少数である。中古スマホ販売店よりもむしろ中古スマホ買取店のほうが激増し、目にする機会が増えているように感じる。その実数こそつかめず、調査データも見つけられなかったが、ネット上には買取店を一覧化したまとめサイトも見受けられるほどである。

 一度市場に流れたスマホがいったいどこに流通していくのか疑問を持つようになった。明らかに買取られている中古スマホは、その想定数からしても国内以外に流通しているとしか考えられない。そしてついに、中古スマホの流通先が国内ではなく、海を渡って香港を経由し、世界に流通しているという事実を突きつけられることになった。

2. 世界最大の中古スマホ流通市場、香港  

 日本国内のスマホ買取業者からどういうルートにスマホが流れていくのか。これを探っていくうちに、香港を拠点とし、日本にもオフィスを持つスマホのバイヤーに接触することができた。Telecom Generation Company LimitedのKen Luo氏である。日本のほか、韓国や中国へと飛び回るLuo氏より、世界の中古スマホ流通の実態について話を伺うことができたほか、香港で行われている業者向け中古スマホオークションや、さらにその先の中古スマホ小売業者への取材も仲介していただくことができた。今後、Luo氏に案内いただいた各所へのルポを数回に分けてご紹介していく予定である。

決定4

 まず第1回目となる本稿では、中古スマホの世界流通経路について整理しておきたい。Luo氏によれば、世界の中古スマホ市場は基本的に先進国が流出元となり、そこから新興国、発展途上国へと流れている。先進国では大量のスマホが消費されている。とくに加入者獲得のために通信事業者が販売奨励金などを振舞い消費者に安価に新製品スマホを購入させ、また定期的に新製品に買換えを促すことによって中古スマホを生み出している。これが通信事業者の下取り制度や買取業者によって買い集められ、一旦香港に集積する。香港には、買付業者向けの中古スマホオークションが多数存在し、このオークションを通じて業者が新興国や発展途上国に流していく。なぜ香港が中古スマホ流通のハブとなるのか。これは香港は輸出入に関税がかからない仕組みであるためだ。

 流通先は、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピンなどの東南アジア各国、深センを通じた中国本土各地、さらにはドバイにまで流れていくという。中国本土に中古スマホを持ち込むのはじつは非常に手間がかかる。基本的には輸入禁止となっており、個人が手荷物として持ち込むことになるのだが、「個人使用に限った持込み」と決められており、せいぜい1度に運ぶ数は3〜4台にとどめないと通関で入境を断られることもある。それでも香港〜深セン間は「運び屋」と呼ばれるビジネスがあり、こうした人たちを通じて大量の中古スマホが中国本土に流れていく。またドバイはアフリカ各地への中継点となっており、ドバイで再びアフリカ各地のバイヤーの手を通じて流通していくそうだ。一方、欧州には香港ルートとは異なる中古スマホ流通ルートが存在する。

決定5

 

 Luo氏の会社はスタッフ数が30人ほど。仕入れ元となる日本、米国、韓国等への買付けに10人程度のスタッフが当たり、残りの20人程度のスタッフが倉庫の管理や業者向けオークションを担う。この会社だけで月間に8~12万台の売買を行っており、その流通端末のほとんどがiPhoneで、次いでiPadなどのアップル製品や、サムスンのGALAXY、ソニーのXperiaなどである。仮に月間10万台を扱ったとして、1台あたりおよそ3万円で取引されると考えれば月商30億円である。

 香港には同様な中古スマホを専門に扱う流通業者が相当数あるとされている(実数はつかめない)。前述したとおり、日本国内だけでもスマホ新製品が2,748万台(2014年)も出荷されているにも関わらず国内で流通した中古スマホは100万台レベルである。その背景で、相当数の中古スマホが香港に流れているとみられ、その市場規模もかなり大きなものであることが容易に想像される。
 我々日本人には、日本における中古スマホ流通に関して、その実態がほとんど知られていない。中古スマホ販売店や、中古スマホ買取業者が増えていることは気がついていたが、その全貌を日本の関係者から知る機会はこれまでなかった。しかし、Luo氏によれば、日本国外の業者向けにはある程度その流通ルートが知られているのだという。日本における中古スマホは、主として通信事業者が顧客の端末を下取・回収したものを流通させる業者が存在すること、またMNP(Mobile Number Portability)のキャッシュバック等を目的にiPhoneの購入と回線契約をして、端末はすぐに買取業者に売却するというケースがあるが、こうした買取業者ルートも確立されているという。

 通信事業者ルートでは、NTTドコモの場合、下取りした端末はまず端末修理業者に渡る。NTTドコモでは「ケータイ補償サービス for iPhone & iPad」に加入しているユーザーが万が一端末を水没させたり紛失した場合に、即日代替端末を送付するサービスを提供している。この業務はアシュリオン・ジャパンが受託しているが、同社のグループに端末修理事業を行う会社もあり、下取りされた端末がアシュリオン関連会社に流れ、そこでリファビッシュ(再生)され、「ケータイ補償サービス for iPhone & iPad」に使われているようだ。中古端末の余剰も出そうであるが、それらの端末がどうなっているのかは不明である。

 同様に、ソフトバンクは傘下に収めた端末卸業者であるブライトスターを通じて、海外に端末を流している。ブライトスターはソフトバンクの下取・回収端末や、米国の通信事業者からも下取・回収端末を集め、香港をはじめ世界へ流しているようだ。いずれにしても、日本国内の通信事業者にしてみれば、国内で中古端末が流通してしまうと新品端末の販売に影響を与えかねないので、国内流通よりもむしろ海外に中古端末が流出したほうがありがたいという考え方なのだろう。これら通信事業者の下取・回収端末以外に、買取専門業者経由からの仕入れルートも複数あるという。

むだい1

 

 次回は、一般の消費者は立ち入ることもできない、香港の買付業者向け中古スマホオークションの実態を報告させていただく。取材という形で撮影も許可されその実態を日本で報告するのは本稿が初出となる。ご期待いただきたい。

<お詫びと訂正>

本稿初出時に「ケータイ補償サービス for iPhone & iPad」を取り扱っている企業を「アシュリオンテクノロジー」と表記しておりましたが、正しくは「アシュリオン・ジャパン」の間違いでした。関係される皆様にお詫びを申し上げると共に関連部分の記述を訂正させていただきました。

※PDFデータはこちら

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写真9

1967年、東京都生まれ。黎明期からの携帯電話業界動向をウォッチし、2000年に(株)アスキーにて携帯電話情報サイト『携帯24』を立ち上げ同Web編集長。コンテンツ業界を経て2004年独立。  2007年、「携帯電話の遠隔医療応用に関する研究」に携わり徳島大学大学院工学研究科を修了、博士(工学)。スマートフォンの医療・ヘルスケア分野への応用をはじめ、ICTの地域社会での活用に関わる研究に従事。モバイル学会理事/副会長、ITヘルスケア学会理事。近著に『メディア技術史』(共著、北樹出版)など。1000台を超えるケータイのコレクションも保有している。

<オークネット総合研究所 概要>
 当総合研究所は、1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指しています。

所在地:〒107‐8349東京都港区北青山二丁目5番8号 青山OMスクエア
代表理事:山内 良信
U R L:http://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/

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<本件に関するお問合せ>
株式会社オークネット 広報担当:降旗(フリハタ)
TEL:03-6440-2530  E-MAIL:request@ns.aucnet.co.jp

※本資料を利用される際は、提供元を「オークネット総合研究所」と明記の上、ご利用ください。



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