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オークネット総研ニュースレター配信  ~世界の中古スマートフォン流通市場の実態を探る~
第21回:国内リユース事業者による中古スマホの買取から販売まで

2019年4月22日

 オークネット総合研究所(所在地:東京都港区/理事長:佐藤 俊司/URL:https://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/)は、BtoBネットオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営し、独自の調査レポートなどを発表しています。当レポートは昨今注目される中古スマートフォン市場に関し、モバイル研究家・木暮 祐一氏に取材・調査を依頼し、ニュースレターとして不定期で配信しているものです。
 リユースモバイル・ジャパン(RMJ)は3月に「リユースモバイル端末の取り扱いに関するガイドライン」を発表し、その詳細を前回のレポートで報告させていただきました。今回は実際に一般の消費者を対象にスマートフォンの買取から販売までを行うリユース事業者を取材し、ガイドラインの内容と照らし合わせてその実際をレポートします。

1. 買取から販売まで手掛けるリユース事業2社

 分離プラン義務化に向けた動きの中で、スマートフォン(以下、スマホ)の中古端末流通の活性化も期待され、さる3月にはリユースモバイル・ジャパン(RMJ)は「中古端末取引市場の形成と発展に向け、端末の格付基準、端末内の利用者情報の処理および関連法令の遵守等に関し、基本的な考え方及び事業者等が中古端末の流通・検査・販売等を行う際に留意すべき事項を整理」した『リユースモバイルガイドライン(初版)』を公表したことは当ニュースレター第20回で報じたとおりである。

 では実際に中古スマホ取扱事業者の業務の流れを見ながら、本ガイドラインで示される買取、格付、販売それぞれの要求事項をレビューしたい。今回はBtoC向けのリユース事業を行っている株式会社イオシスとブックオフコーポレーション株式会社の2社を取材させていただき、両社におけるスマホの買取から販売までの流れを紹介したい。なお両社ともRMJの理事企業でもある。

 株式会社イオシスは本社を大阪市中央区に置く中古家電製品等のリユース事業を行う企業で、とくに近年はスマホやタブレットの販売に主軸を置いている。2014年からTSUTAYA事業などを行うカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の連結グループ会社となっている。現在東京・秋葉原、大阪・日本橋、名古屋・大須に計8店舗を展開するほか、オンラインでの販売、買取も行っている。今回は秋葉原の「イオシス買取センター」と、その周辺にある「アキバ中央通店」「アキバ路地裏店」を取材させていただいた。

 一方、ブックオフコーポレーション株式会社は神奈川県相模原市に本社を置き、書籍やDVDから家電、家具、ファッションまで生活関連用品の総合リユース事業を全国で展開する。国内でリユース事業を行う店舗は直営370店、FC加盟店437店の計807店(2019年3月31日現在)が営業しており、このうち中古スマホの取り扱いは直営310店と、FC加盟店は中古スマホ取り扱いを希望する店舗(約250店)のみとなる。今回は直営旗艦店の一つである東京都町田市の「BOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフスーパーバザー)町田中央通り店」を取材させていただいた。

 RMJでは、中古スマホを取り扱うリユースモバイル関連事業者を「リユースモバイル端末事業者」「仲介事業者」「プラットフォーム提供事業者」「修理事業者」の4業態に分類している。このうち「リユースモバイル端末事業者」は一般消費者との間で中古端末の買取・販売の両方またはいずれかを行う事業者と定義し、ガイドライン(初版)はこのリユースモバイル端末事業者のみを適用対象としている。今回取材させていただいた2社はどちらも、店頭およびオンラインで買取を行っており、買取られた端末は自社の商品化部門でデータ消去や点検、整備などを行った上で、自社で中古端末として店頭およびオンラインで販売を行っており、リユースモバイル端末事業者に該当する。

2. 店頭におけるスマホ買取時の流れ

 RMJが公表したガイドライン(初版)では、まず古物営業法に基づく基本的な対応を遵守することを求めている。具体的には、買取依頼者の身分確認や買い入れる端末が盗品、不正品でないことの確認、そして取引詳細等についての帳簿への記載と保管等である。それに加え、ガイドラインの要求事項として、「端末ロック等に関する確認」という観点から端末ロックの解除、端末とアカウントの紐付け解除など7項目の確認と、「利用者情報の残存がないことに関する確認」という観点からオールリセットの実施、非接触ICカード情報の消去の2項目の確認、そして「不良端末ではないことの確認」という観点からネットワーク利用制限の確認や水没反応の跡がないかなど5項目の確認を義務付けている。確認項目数は多いが、実際の買取の現場ではこれらの点検を確実に、かつ迅速に行い、査定を行うことが望まれている。

 イオシスの買取センターは、秋葉原の中央通り沿いに店舗を構え、5つのカウンターで対応を行っているが、夕方頃からは買取依頼者の行列ができるほどの賑わいをみせる。買取の手順としては持込まれた端末の機種等を確認後、買取価格表に基づき付属品の有無などをもとに、まず仮査定金額を依頼者に提示する。ここで依頼者が了承したら、買取申込書に記入をいただき身分証による本人確認などを経て本査定に入る。ネットワーク利用制限の確認、動作確認、外装評価などを5分程度で行う。本査定は、買取価格表から減点事項を減額していく形で行い、最終査定額が確定して依頼者が了承したら、その場で現金にて買取金額を支払って完了となる。また、この時点でパスコードロック解除や非接触IC利用の有無の確認などを行い、最後に端末の初期化(フルリセット)をカウンター上で依頼者自身に行ってもらい、両者それを確認したうえで端末を引き取っている。






イオシスでは、店頭買取はこの秋葉原の「イオシス買取センター」のほか、大阪・日本橋の「大阪買取センター」、名古屋の「名古屋大須店」の3店舗で行っている。このほかオンラインでの買取も力を入れており、主要機種の価格表をウェブに掲載しているほか、オンライン見積もりも容易である。


 スマホやPCなどを中心に買取を行うイオシスに対し、ブックオフコーポレーションは書籍を中心に生活に関わるあらゆる商品の買取と販売を行う総合リユース事業者である。買取に持ち込まれる商品は多様であり、スマホは数ある商材の一つという位置づけである。



 ブックオフ町田中央通り店の買取カウンターでも同様に、買取価格表に基づいた査定額から、付属品や外装の状態などを見て減点していく形で最終査定額を提示し、買取を行っている。買取が成立した後、イオシスと同様に依頼者の立会いの下で端末のオールリセットを行っている。この時点で買取端末はデータベースに登録され一元管理される。また、ブックオフコーポレーションでは携帯電話データ消去アプリ開発を行う株式会社クリエージェンシー(三重県伊賀市、RMJにも加盟)と独自のクラウド型端末動作確認ソリューションを開発し、スマホ買取を行うブックオフ全店で利用できるようにしている。買取した端末はまずこのソリューション(アプリ)を使って動作確認などを行い、オールリセット処理を行った上で横浜市瀬谷区のブックオフロジスティクスセンター内にあるデータ消去センターに送り、ここでデータ消去処理とクリーニングを行っている。









 両社とも、RMJのガイドラインで示される買取時の確認要求事項はすべて満たした上で、さらに独自の評価項目や信頼性を高める工程なども加えて買取業務を行っていた。

 イオシスはスマホのリユース事業を主体的に行っており、店舗展開も3都市の電器街に特化していることから、買取から販売まで高い知見を備えている。とくに個々のスタッフの目利きが優れている。株式会社イオシス 法人営業部パーチェシングマネージャー・野口宗隆氏によれば、「当買取センターのスタッフであれば、たとえば一見無傷の端末でも修理店で外装交換した端末かどうか判別できる」という。

 「最近は修理店でカバーガラスの交換修理を行うケースも増えているが、こうした端末は修理品という扱いで査定を下げざるを得ない。ディスプレイの発色や、パネルの合わせ具合、触感などでほぼ見分けられる。また、故障などでアップルストア等の正規修理店で交換された端末もシリアル番号から判別ができてしまう。交換された端末というのは外装こそ新品であるが、基板などは再生品。これも査定には影響が出てくる」(イオシス 野口氏)

 こうした熟練したスタッフが対応するイオシスに対して、ブックオフ店舗は全国に展開し、スタッフについても基本的な研修は受けてはいるが、均質な買取品質を保つためにはシステムでカバーしていく必要がある。このため、クラウド型査定管理システムを導入し、一元管理を行っている。

 ブックオフコーポレーション株式会社 ブックオフ商品部 家電グループ・増田敦志氏によれば、「スマホの買取は直営店全店舗で行っており、買取業務については端末動作確認などについて一定の研修を受けたスタッフが担当している。しかしスタッフ全てがスマホを専門としているわけではないため、査定で判断に迷うことも考えられる。このため、ウェブカメラ付きの業務システムを配備しており、これを使って本社の査定を熟知したスタッフと結びオンラインで買取査定の助言を得られる体制を構築している」という。

 なお、参考までに両社の店頭にて、筆者所有のiPhone 7(Apple販売国内SIMフリー版)を査定してもらったところ、両社とも同額の見積もりであった。

3. 商品化作業から店頭販売まで

 RMJのガイドラインの中で検査・格付業務における要求事項として、「端末ロック等に関する評価」という観点からパスコードロック解除やSIMロック解除など6項目の確認と、「ネットワーク利用制限に関する評価」で1項目、「利用者情報の残存がないことに関する評価」という観点からオールリセット処理や事業者用ソフトウェアを使った上書き消去など4項目が義務付けられている。これらのうち、事業者用ソフトウェアによる消去作業以外の項目はほぼ買取時に処置が行われている。

 そして事業者用ソフトウェアによる消去作業を含む最終的な商品化作業は、両社とも専用拠点を設け、買取した端末を一旦ここに集約させ処置を行っている。

 イオシスでは平均して月間35,000台程度の買取(携帯電話、スマホ、タブレット)を行っている。これらの店頭やオンラインで買取られた端末は、すべて江東区清澄にある「イオシスリファビッシュセンター」に送られ、ここで業者用ソフトウェアを使ったデータ消去(上書き消去)処理と端末のクリーニング、パッキングなどを行い、再び販売店舗へ在庫を振り分けている。



 リファビッシュセンターで商品化処理が行われた端末は直ちに販売店舗へ配備される。イオシスの場合は、店舗ごとに売れ筋商品が異なっているという。東京・秋葉原や大阪・日本橋といった同じ電器街の中でも店舗の立地によって客層は大きく異なり、それによって売れ筋端末が異なるため、入荷した買取端末は本社側のコントロールで配備先を工夫しているという。

 「たとえば秋葉原のメインストリートである中央通り沿いは、どちらかというと一般に売れ筋とされるメジャーな端末の需要が高い。また約3割は外国人客が占めている。一方で、秋葉原路地裏店は電子部品が並ぶエリアだけに売れ筋商品はマニアックなものほど人気が高い。たとえば路地裏店では液晶が割れているジャンク品コーナーも設けているが、飛ぶように売れている」(イオシス 野口氏)


 一方、ブックオフは横浜市瀬谷区に「データ消去センター」を設け、イオシスと同様に買取端末をここに一度集め、データ消去やクリーニングの処理を行っている。ブックオフの買取台数は携帯電話・スマホ・タブレット合わせ月間平均で約40,000台程度という。電気街にしか買取店を持たないイオシスとは対照的に、全国各地に買取拠点を持つブックオフは、とくに地方でスマホを手放したいという人にとって身近な存在であるといえる。

 さらにブックオフはFC加盟店も多く、買取した商品は買い取った店舗の在庫品として取り扱っている。スマホやパソコンなど万全なデータ消去が求められる機器は、データ消去センターに送って処理を施しているが、ここから再び買取を行った店舗に商品が戻っていく。

 「ブックオフは買取から販売まで同じ店舗が行う地産地消が原則。買取・販売とも人気商品には地域性があるもので、スマホにしても同じことがいえる。またブックオフではオークション出品によるオンライン販売も行っており、販売店舗のほうでオンラインでの併売要望がある場合はセンターで預かった際に商品撮影などを行ってから商品を買取店に戻すオークションの出品代行も行っている。もしオンラインで売れた場合は、買取店舗の売上として計上される仕組みになっている」(ブックオフコーポレーション 増田氏)


 中古スマホ端末の販売に関しては、RMJのガイドラインでは商品情報の適切な表示について要求事項を並べている。重要なことは、端末の状態が正しく消費者に伝えられているかである。中でも、スマホの程度を示す格付は購入の際に判断する重要な基準となる。ガイドラインでは、外装評価を以下の表のように基準を設けている。


 ブックオフコーポレーションもほぼこの基準に準じて格付を表示し、店頭およびオンラインで販売を行っている。一方イオシスは、この格付基準が発効する以前から自社で使用していたSからJまでの基準があり、これを継承しているという。

 「イオシスの中古端末では、Sは新品、Aは未使用品など新品同様品、RMJのガイドラインに示されるA評価は、当社ではB評価に該当する。つまりより厳しい基準で評価してきた。これはガイドラインが公表された以降も変わっておらず、したがってイオシスの中古スマホは他の業者で扱われるものより品質が高いと考えていただきたい」(イオシス 野口氏)

 両社とも、買取や販売は季節によって取扱数の変動があるという。いずれもピークは3月で、それに次いで年末や、9月頃(新製品が発売されるタイミング)などにピークがある。今後、分離プランの義務付けによって新品スマホ端末が定価、あるいはそれに近い高価な価格で販売されるようになれば、改めて安価で程度の良い中古端末にも消費者の関心が向いていくとされ、中古スマホ取扱事業者はそうした市場拡大に期待を込めて地盤固めに力を注いでいると感じた。

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 1967年、東京都生まれ。黎明期からの携帯電話業界動向をウォッチし、2000年に(株)アスキーにて携帯電話情報サイト『携帯24』を立ち上げ同Web編集長。コンテンツ業界を経て2004年独立。2007年、「携帯電話の遠隔医療応用に関する研究」に携わり徳島大学大学院工学研究科を修了、博士(工学)。2013年、青森公立大学准教授。スマートフォンの医療・ヘルスケア分野への応用をはじめ、ICTの地域社会での活用に関わる研究に従事。モバイル学会理事/副会長、ITヘルスケア学会理事。近著に『メディア技術史』(共著、北樹出版)など。1000台を超えるケータイのコレクションも保有している。

<オークネット総合研究所 概要>
 当総合研究所は、1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指しています。

所在地:〒107‐8349東京都港区北青山二丁目58号 青山OMスクエア
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U R L:http://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/

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<本件に関するお問合せ>
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