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オークネット総研ニュースレター配信  ~世界の中古スマートフォン流通市場の実態を探る~ 第15回:国内における中古スマートフォン流通、その後の動向(2) ~国内における中古スマートフォン販売の課題~

2017年11月14日

オークネット総合研究所(所在地:東京都港区/理事長:佐藤 俊司/URL:http://www.aucnet.co.jp /aucnet-reseach/)は、BtoBネットオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営し、独自の調査レポートなどを発表しています。当レポートは昨今注目される中古スマートフォン市場に関し、モバイル研究家・木暮 祐一氏に取材・調査を依頼し、ニュースレターとして不定期で配信しているものです。
これまで当レポートでは、国内外の中古スマートフォン流通をめぐる実態に迫ってきました。2017年3月には中古端末流通の普及や健全化を目指したリユースモバイル・ジャパン(RMJ)が発足するなど、中古端末流通をめぐる動きが活発化しつつあります。そこで再び国内市場の最新動向に目を向けます。今回は中古端末の販売事情に着目し、業界関係者への取材をもとに報告いたします。

1. 国内における中古端末販売市場 ~一部は海外にも流れていく~

前回のレポートでは、わが国における中古携帯・スマートフォン(以下、スマホ)端末の買取部分に着目し、各事業者の取り組みや現況をご紹介した。では、買取られた端末はその後どのように流通していくのであろうか。

中古端末買取・販売事業者の業界団体であるリユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)が公表している中古市場動向によれば、RMJ会員企業(9社、総店舗数1,697店舗)の2017年7-9月期の四半期で合計売上額は約33億円、合計販売台数は約36万台となっている。この内訳は、OSを問わないスマホを対象とし、中古端末のほかリサイクル品も含まれるとしている。

この中古販売市場について、RMJの会員企業でもあり買取・中古販売で最大手である株式会社ゲオでは「国内における中古端末販売は好調で、買取端末が増やせればその分中古端末販売台数も伸ばせる成長市場である」という。ゲオの場合、全国約1,600店のゲオショップなどで端末の買取を行い、国内4カ所に設置している同社の加工センターに入庫させてデータ消去や点検、クリーニングなどの処置を行い、再びゲオショップ等の店頭に再配備を行う。

株式会社ゲオ マルチプロダクト事業部 ゼネラルマネージャー 富田浩計氏いわく、「都市部と地方で需給のバランスが異なり、地方では買取が中心、大都市圏では販売が中心となっている。このため、加工センターで処理して出荷可能となった端末は、流通在庫と市場の流通傾向を見ながら、端末の店舗別仕向けを行なっている。約1,600ある店舗網を有効に活用し市場ニーズに応じて端末を流通できるのは、ほぼ全ての店舗を直営で運営している当社ならではの強みといえる」という。

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とくにゲオの場合、モバイル専売ブランドとして「ゲオモバイル」を立ち上げ、主要都市でモバイル専売店を展開するほか、一部の既存ゲオショップ内にも「ゲオモバイル」を併設するなどして中古端末販売に力を入れている。ゲオモバイルでは専売店1店舗あたりおよそ3,000台、ゲオショップ併設店でも1,000台と大量の端末在庫を誇る。端末のほかにMVNOのSIMカードも取り扱い、また「スマホ相談員」も常駐させ、総合モバイルショップを目指している。

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一方、店頭だけではどうしても商圏が限られてしまうため、インターネットを通じたオンライン販売によって販路を拡大するのも一般的な販売手法である。株式会社携帯市場は神田、池袋、津田沼、前橋などに店舗を構え、端末の買取と販売の両方を手がけているが、同時にオンラインストアを通じた買取と販売も積極的に行なっている。
「店頭販売も有効であるが、それがメインでは事業は厳しい。インターネットを通じたオンラインショップは、検索によってユーザーが求める端末をダイレクトに探せ、しかもユーザーの生活圏に関係なく遠方でも配送で対応できる。当社は買取のオンラインショップとして『携帯市場スマートフォン買取.jp』『ガラケー買取.jp』『携帯電話買取.jp』を、販売サイトとして『携帯市場』『楽天市場スマホ生活』『楽天市場ガラケー生活』を展開している」(株式会社携帯市場 代表取締役 粟津浜一氏)

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中古端末のオンライン販売となると、購入者が実際の端末の程度を確かめられないまま販売されていくことになり、このようなところでトラブルは発生しないのであろうか。

粟津氏いわく、「中古端末は個々に状態も異なり、購入するユーザーにとってリスクはないのかと聞かれるが、当社では中古端末のグレーディングを明記しており、その上で傷や破損などの部分は写真を掲載することで、安心して購入してもらっている。むしろ、ネットオークションなどの個人売買よりも安心して購入いただいている。」という。

また札幌と福岡に買取店「モバイルステーション」を運営している株式会社パステックは店頭では中古端末販売を行わず、買取した端末はオンラインショップ『楽天市場モバイルステーション』『ヤフーショッピングモバイルステーション』やインターネットオークションなどで販売を行なっている。

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「札幌と福岡を合わせて月に3~5,000台を買取っている。これをオンラインショップで月に2~3,000台販売している。その差分となる端末は海外に売却した方が有利な端末等で、一旦福岡店に端末を集約し、そこから香港の業者に買取ってもらっている。機種等によっては国内で再販するより、海外に売却したほうが有利なものがある。」(株式会社パステック 代理店事業部 黒川一洋氏、宮地洋史氏)

本レポートでも、わが国の中古スマホ端末が海外に売却されている実態を報告してきたが、その多くは通信キャリアによって下取られた端末だった。しかし、買取店からも海外に売却されるケースがある。関係者の話では、買取った端末の全てを海外に売却する目的で事業を行う買取店もあるという。市場の原理を考えれば、同じ商品を売るにあたってより高価に売却できる市場に商品を流していくのは当然のことといえるのだろう。

では、国内のみでの中古端末に専念しているゲオでは、どのような顧客が端末を購入しているのであろうか。ゲオでは2016年で約100万台の販売実績を誇る。このうち中古端末として販売をした端末数は613,000台で、452,000台は部品取り用、あるいはジャンク品として販売したものとなっている。

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富田氏いわく「MVNOの利用増加とともに端末だけが欲しいという需要がイノベーター層を中心に拡大し、こうした需要に対応している。実際にはサブ端末として購入したり、あるいはお子さんや親御さんなどが使う端末として購入される」という。

ゲオではMVNOのSIMカードの取り扱いも行なっており、SIMもセットで購入するユーザーも少なくないという。さらにゲオの店頭において、インバウンド客の購入が約2割を占めているという。東京、福岡、札幌などインバウンド観光客が多い地域のゲオモバイル(ゲオの中古スマホ専売店)には、海外からの観光客がよく訪れているという。海外からの観光客にとって、わが国で販売されている中古スマホは安価に感じられるのであろう。国内で中古端末として再販しても、その一部は結局のところ海外に流出しているようだ。

2. 中古端末の海外市場への流出の要因

本年3月にRMJが発足した際の記者会見で、RMJ代表理事企業・株式会社携帯市場 代表取締役 粟津浜一氏は通信キャリアの端末下取り価格と、RMJ加盟企業における端末買取価格にギャップがあることを指摘していた。iPhoneの場合、とくに古いモデルほど差に開きがあった。

以前、オークネット総研のレポートでも述べたように、通信キャリアがユーザーから下取した端末は海外に転売されていくものもある。従って通信キャリアが下取る価格も、海外における取引価格を考慮した上で算定されていると考えられ、とくに古いモデルほど国内外で価格差が生じている実態が響いているのであろう。

海外において、旧型のモデルがわが国よりも高価取引されるには理由がある。わが国は世界の中でも最も優れた通信インフラが整った国といえ、このネットワークを有効に活用するためには最新の端末が求められる。その一方で世界の新興国や途上国では、まだ3G(第三世代)ネットワークが中心であったり、場合によっては2G(第二世代)ネットワークでなければ通信できないエリアもある。こうした国々においては、最新端末は宝の持ち腐れといえ、2~3世代前のスマホでも十分有効に活用できる環境にある。こうした国々で、わが国では見向きもされなくなった旧モデルさえ高値取引されるのである。中古スマホも販売される国・地域によってニーズが異なるし、それによって国境を越えて端末が取引されていくのは市場原理として致し方ないことなのであろう。

わが国における中古スマホの売れ筋について各社の意見を整理すると、まず最新端末からせいぜい1~2世代前のモデルあたりまでが人気が高いという。また、わが国の消費者動向として、外観に傷が少ない、きれいな端末が好まれる。当然、傷やへこみがある端末は前オーナーが丁寧に取り扱っていなかったことがうかがえ、敬遠したくなることは同意できる。

しかし、実際にスマホは日常的に持ち歩かれ使われているツールであり、故障や破損はつきものである。万が一端末を破損させてしまったらユーザーはどうしているのか。この点についてゲオの独自調査によれば、スマホユーザーのうち修理経験があるユーザーは18%にとどまっており、一方で壊れたことをきっかけに端末を買い替えたユーザーが32%に上ることが示されている。

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当然、破損した端末は処分するという流れになると思われ、ゲオでは2014年から“壊れていても買取りします”という「なんでも買取」キャンペーンを展開し、同社が2016年に買取った端末101万台のうち、「なんでも買取」で持ち込まれた端末が41万5千台に上っている。破損端末は「ジャンク扱い」で低価格で引き取られるが、じつは買取事業者の多くはここに大きなビジネスチャンスを見出している。いわゆる端末修理事業との連携である。破損した端末を安価に買取り、それを修理して売却することで収益を上げているところもあるようだ。

次回は、このあたりのスマホの第三者修理を巡る動向について解説したい。

本リリースのPDFはこちら

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 1967年、東京都生まれ。黎明期からの携帯電話業界動向をウォッチし、2000年に(株)アスキーにて携帯電話情報サイト『携帯24』を立ち上げ同Web編集長。コンテンツ業界を経て2004年独立。2007年、「携帯電話の遠隔医療応用に関する研究」に携わり徳島大学大学院工学研究科を修了、博士(工学)。スマートフォンの医療・ヘルスケア分野への応用をはじめ、ICTの地域社会での活用に関わる研究に従事。モバイル学会理事/副会長、ITヘルスケア学会理事。近著に『メディア技術史』(共著、北樹出版)など。1000台を超えるケータイのコレクションも保有している。

<オークネット総合研究所 概要>
 当総合研究所は、1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指しています。

所在地:〒107‐8349東京都港区北青山二丁目58号 青山OMスクエア
理事長:佐藤 俊司
U R L:http://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/

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<本件に関するお問合せ>
株式会社オークネット 総合企画室:土屋 貴幸、吉岡 祐二、伊藤 慶子
TEL:03-6440-2530  E-MAIL:request@ns.aucnet.co.jp

※本資料を利用される際は、オークネットにご一報の上、提供元を「オークネット総合研究所」と明記して、ご利用ください。



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